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きれいはきたない、きたないはきれい。 [美術・建築・デザイン]



「きれいはきたない、きたないはきれい。」 (シェイクスピア 『マクベス』)


前回に引き続きまた岡本太郎氏に関して.。
彼は、芸術はきれいであってはならない、ということをよく言われていましたが、これは一見、はあ?と思うようなことですけれども、その著『今日の芸術』を読むと、その意図するところがよくわかります。
「美しさ」というのは、気持ちのよくないもの、みにくいもの、グロテスクなものにも使えることばであり、恐ろしい、いやったらしい、不快なものの中にも、ぞっとするような美しさがある、と。

「うまいから、きれいだから、ここちよいから、-という今日までの絵画の絶対条件がまったくない作品で、しかも見るものを激しく惹きつけ圧倒しさるとしたら、これこそほんとうの芸術の凄みであり、おそろしさではないでしょうか。」 (岡本太郎 『今日の芸術』)


彼は、ピカソやゴッホの絵はきれいではないが、美しい、といいます。
私が思うに、たとえば、ロックンロールなんかを例に考えるとよりわかりやすい。
ロックンロールというのは決してきれいではない。いや、きれいであってはいけないでしょう。
RTXはきれいか?STOOGES、ジミヘン、ピストルズギターウルフ、DISCHARGE、村八分は?

しかし、聴く側の心を激しく揺さぶる何かがあることは言うまでもありません。

岡本太郎氏がロックについてどう思っていたかというのは、寡聞にして知りませんが、例えばハードコアパンクなどを聴いていたら、どう思ったんでしょうね。ちなみに吉本隆明氏は、スターリンのファンらしいんですが。

美術の話でいえば、彼は言及していませんけれども、私が思い出すのは、曽我蕭白です。
曽我蕭白は、曽我蛇足の子孫を自称し京都の画壇において一際異彩を放った画家でしたが、当時の画壇で主流だった円山応挙、伊藤若冲などに代表される写生画を否定し、以下のように語ったと言われています。

「画を望まば我に乞うべし、絵画を求んとならば円山主水よかるべし。」


いやーイイコメントですなあ。
ここに蕭白の反骨精神と自信のほどが見事に凝縮されています。
それと同時に、パンク・スピリットすら感じられます。
やはりジャンルを問わず、優れた芸術の創造には、多かれ少なかれDESTROYなパンク・スピリットが必要なのでは、と思われますけれど。もちろん岡本太郎にも十分それは感じられます。

私は応挙や若冲の絵画は全く好きになれないけれども、蕭白や長澤芦雪には物凄く魅かれます。
応挙・若冲の作品を見てきれいだとかうまいなと思うことはあっても、蕭白の絵を見てああきれいだな、と思うことはまずありえないでしょう。むしろ不快感を感じる人の方が多いのではないでしょうか。
しかし、その凄みときたら、やはり見る者を圧倒せずにはおかない。もしかしたら、蕭白は日本絵画史上最大の天才のひとりなのかも、とすら思ってしまいます。

しかし彼は、まあ全くもって無名ですよね。それは、彼の画が、岡本太郎のいう「いやったらしい」ものであることによるところが大きいと思われますけれど。
日本人で曽我蕭白の画を知っている人が、いったい何人いることか。
例えば、Amazonで検索すると、3冊しかでてきません。
ちなみに、
円山応挙: 17件。
伊藤若冲: 17件。
長澤芦雪: 0件。

とはいえあと10年もすれば、蕭白ブームが来るかもしれないと思う今日この頃。



曾我蕭白

曾我蕭白

  • 作者: 狩野 博幸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/12
  • メディア: 単行本


今日の芸術―時代を創造するものは誰か

今日の芸術―時代を創造するものは誰か

  • 作者: 岡本 太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫


マクベス

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  • 作者: シェイクスピア, SHAKESPEARE
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫


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