So-net無料ブログ作成
検索選択

Apple のものづくり(2) [Misc]

PICT5320.JPG



さて 前回の記事の続きで、
iPhoneとかAppleとかについて思ったことなんだけれど、

私が iPhoneを使ってみて感心したことのひとつは、その絶妙な大きさ。
これがあと1センチ大きくても使いにくい、1センチ小さくても従来の携帯とあまり変わらず、
画面が小さくて見づらい、ということになってしまう。
まさに、計算しつくされた大きさであり、それが使い心地のよさに大きく作用している。

iPad mini も同様で、従来の iPadは、手に持って操作するには大きすぎ、
決して使いやすいものではないという印象があったけれど
iPad miniの大きさは、タブレットとして大きすぎず小さすぎず、絶妙で、
手に取った瞬間、あ これはいい と思ってしまった。
(結局、そのまま衝動買い)

ここで、デザインと商品の大きさということについて、考えさせられた。
例えば、今ではすっかり廃れてしまった、レーザーディスクMDといったもの。
これらは、機能としては非常に便利な商品だと思うけれど、普及しなかった。

それに比べCDは、その後MDやDVD、さらにはブルーレイというものが出たにもかかわらず、
まったく廃れることがないどころか、
DVDやブルーレイのディスクの形と大きさは、CDと全く同じ。

これは、MDは小さすぎて、レーザーディスクは大きすぎた、
つまりデザインとしての完成度が低かった、ということで、
逆にCDは、人間にとって最適な大きさであり、
それがつまりデザインの完成度が高い、ということなのだろう。

デザインにおいて、特にいわゆるプロダクト・デザインにおいて、最優先されるべきは、
美しさではなく、人間にとって使いやすいことである、
という、ごく当たり前のことだけれども、案外ものづくりにおいて見逃されていることを、
再認識させられた次第。

たとえば、もしAppleが電気自動車の開発を手がけたら、いったいどんなものが出来るのだろう、
と考えてしまう。

ちなみに、CDプレーヤーを世界で初めて発売したのはソニーで、1982年のことだとか。



もう一つ考えさせられたこと。

Appleの製品デザインは、確かに素晴らしい。
しかし、他社の商品開発との一番の違いは、製品デザインに留まらず、
ライフスタイルまでデザインしてしまったということ。

つまり、iPodやiPhoneを購入することによって、ユーザは確実にその生活が変わる。
それまでは、CDを買って、家のステレオで音楽を聴いていた人が、AppleのiTunesを使って、
音楽やPodcastなどをダウンロードして、それを iPodに取り込み、通勤途中に聴く、
というように、生活のスタイルが変わってしまう。

悪く言えば、それは「囲い込み」なのだけれど、ライフスタイルデザインというのは、
とても重要な視点だと思う。

日本のものづくりの場合、技術的にどこまで突き詰められるか、コストをどこまで下げられるか、
といった話が多いように思うし
また、ほとんど使われることのない機能やオプションがやたらと多かったりする。

例えば、日本のメーカーのパソコンを買うと、ものすごい数のソフトウェアがプレインストールされてる。
その大半は一度も使うことはない。
それを削除すると言うムダな作業が生じたり、ムダにディスク容量を圧迫するだけ。

これは、ユーザの視点に立ったものづくりと言えるはずもない。
或いは、ユーザのことを考えたつもりで、実は大きな勘違いをしている。
正直、メーカーはいったい何をやってるのか、と腹立たしくなる。
Windowd7も同様。
(このインターフェースの改悪は、ほんとに腹立たしい。こんな、ユーザを無視したことばかりしてるMicrosoftは、もう終わってると思う)


いまこういう分野でこういう技術があり、それをつきつめるとこういう商品ができる。
たいていの企業がやっていることは、この程度に留まっているのではないだろうか。

しかし本来の商品開発というのは、どういう生活をしたいのか、ということがまず先にあって、
それに必要だからこういう製品をつくる、という流れになっているものでは、という気がする。

前者のような商品開発は、技術的にはすごいものができるかもしれない。
でも、技術的にすごいことが必ずしもみんなが欲しがるものとは限らない。
例えば、ヘッド・マウント・ディスプレイなんて、技術的にはすごいと思うけど、誰が買うの? 
少なくとも私は、こんなださいもの要らない。
こんなのしてるところ、人に見られたくないよ。

むしろ、皆が欲しがるものは、技術的にはたいしたことはないけど、
今までになかった発想や組み合わせのものだったりして、
Appleの商品の大半は、それまで既にあったもので
例えばiPodが出る前、PCでCDを取り込んで、音楽プレーヤーに転送する、
というのは、既にSONYのメモリスティック型WALKMANによって実現されていたわけだし。

ちなみに、ソニーは、CDプレーヤーを発売する以前に、なんと
13時間の音楽を録音・再生できる直径30cmのディスクを開発していたのだとか。
しかし、そんなもの誰も欲しくない、という理由で社内的に反対され、商品化は見送られたと。
そりゃそーだよね。


そこそこ便利で、それがあると少し生活が楽しくなり、値段も手の届かないほど高くもなく、
なんといってもデザインが美しく、しかも使い勝手がよい、
そういったものが人々から欲しがられ、愛される商品となるんだと思う。


まず、自分が本当に欲しいものは何か?を突き詰めることからスタートし、
何から何まで計算しつくされ、無駄がなくて商品としての完成度が極めて高く、
しかも遊び心にあふれ、世界中の人々が欲しいと思うような商品を次々に生み出すApple。

彼らのやっていることは、全く新しいことでもなければ、
技術的にものすごいことをしているわけでもなくて、むしろ、
いわゆる、ものづくりの本来「あるべき姿」というのを、とことん突き詰めているだけ、
という印象を受ける。

そんな彼らの姿勢には、おなじものづくりに携わる人間の多い技術立国・日本としては、
学ぶところが多いように思うなぁ。


とにかく、インターネットが普及して以来、世の中ずっと、情報量が増え続け、
なにもかも複雑になりすぎ、情報量も多くなりすぎた。
人間の生活は、或いは人間に必要なものとはこんなにも複雑なものではなくて、
もっとシンプルなものであるはずで、
だから断捨離じゃないけれど、ここで、一旦全てリセットしてみて、本当に必要なものだけを残す、
そんな作業が必要なのではないか、

いま私がApple製品を使っていちばん強く感じるのは、そういうことである。
それは私自身の生活にも言える。





アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか

アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか

  • 作者: 日経デザイン
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2012/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




Apple Design 1997-2011 日本語版 -ハードカバー-

Apple Design 1997-2011 日本語版 -ハードカバー-

  • 作者: Sabine Schulze(ザビーネ・シュルツェ)
  • 出版社/メーカー: ボーンデジタル
  • 発売日: 2012/12/10
  • メディア: 大型本



企業戦略としてのデザイン アップルはいかにして顧客の心をつかんだか

企業戦略としてのデザイン アップルはいかにして顧客の心をつかんだか

  • 作者: Robert Brunner
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2008/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



Macintosh的デザイン考現学―アップルプロダクトと世界的デザインの潮流を探る (Mac Fan BOOKS)

Macintosh的デザイン考現学―アップルプロダクトと世界的デザインの潮流を探る (Mac Fan BOOKS)

  • 作者: 大谷 和利
  • 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 単行本





冒頭の写真は先日行った天王洲にて。
記事とは一切関係なし。



nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る