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和食が世界無形文化遺産に。 [食・体にいいこと]

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もう結構前のことだけれど
和食が世界無形文化遺産に登録されるというニュースがあった。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/131205/edc13120500270001-n1.htm

http://www.yomiuri.co.jp/otona/tamatebako/13/etc/20140123-OYT8T00687.htm


まあ、和食が世界的にその価値が認められるということ自体は、
もちろん喜ばしいことであるけれども、なにかひっかかるものがあるのも事実。

ちなみに、和食以外では、
フランスの美食術、スペインやイタリアなどの地中海料理、
メキシコの伝統料理、トルコのケシケキ(麦がゆ)の伝統、
などがあるらしいんだけれど

じゃあ登録されていない食文化は、「無形文化遺産」としての価値がないの?
それも失礼な話じゃないかなー。
全ての国の伝統的食文化は、それぞれ大事な文化遺産なんじゃないの。

現代の、便利さとか手軽さとかばかりが重視されているような、
食品添加物と農薬まみれの食品が大量生産・大量消費されている食生活の方が、
むしろ問題なんじゃないのかなー。

そもそも、いまの日本のふつうの家庭の主婦で、
ちゃんとした和食がつくれる人がどれだけいるの?

ちなみに、今回文化遺産に推薦される理由としては、大きくまとめると4つあったらしく

(1)多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
(2)栄養バランスがよく、健康的な食生活
(3)自然の美しさの表現
(4)年中行事との関わり

だそうだけど、自然の美しさだとか、年中行事を意識して日々料理を作ってる主婦なんているの?



。。 などというような意見が、
日本中から噴出することは、十分予想されるので。。

私ごときが、どうこう言うこともなかろーと思ってた。

ただ、なんだか、わかったようなわからないような話で、
もやもやしたものを感じつつも、このことについては、忘れてしまった。



ところが、先日ユリイカの2014年1月号(ルー・リード特集)を読んでいたら
竹西寛子さんが、このことについて書いているのを見つけ、はっとした。
(耳目抄 316 忘れようのない日)

彼女は和食が世界文化遺産に登録されるというのを知り、谷崎の『陰翳礼讃』を
ひもといたとのこと。 そして、以下を引用している。


「私は、吸い物椀を前にして、椀が微かに耳の奥へ沁みこむようにジイと鳴っている、あの遠い虫の音のようなおとを聴きつつこれから食べる物の味わいに思いをひそめる時、いつも自分が三昧境に惹き入れられるのを覚える。(中略)
日本の料理は食うものではなくて見るものだと云われるが、こういう場合、私は見るものである以上に瞑想するものであると云おう。そうしてそれは、闇にまたたく蝋燭の灯と漆の器とが合奏する無言の音楽の作用なのである。」


「その外醤油などにしても、上方では刺身や漬物やおひたしには濃い口の『たまり』を使うが、あのねっとりとしたつやのある汁がいかに陰翳に富み、闇と調和することか。(中略)
あの、炊きたての真っ白な飯が、ぱっとふたを取った下下から暖かそうな湯気を吐きながら黒い器に盛り上がって、一と粒一と粒真珠のようにかがやいているのを見る時、日本人なら誰しも米の飯の有り難さを感じるであろう。かく考えてみると、われわれの料理が常に陰翳を基調とし、闇と云うものと切っても切れない関係にあることを知るのである。」



これだ、と思った。

あたかも数奇屋建築を評するが如くに料理を評して格調高いことこの上なく、
しかも視覚的なイメージ・嗅覚的な感覚をかきたてる表象喚起力があると同時に、
威圧的とすら感じられる凄みに満ちみちた、このような文章で表現されうるような、
あまりにも高度な食文化。
それが、わが国の食文化なのである、ということを、改めて気づかされた。
これはやはり、その洗練度の高さという意味において、世界に誇れることだとは思う。

とくに、吸い物椀を前にして、椀が微かに耳の奥へ沁みこむようにジイと鳴っている、
遠い虫の音のようなおとを連想するだなんて、はっとさせられたし
すごくわかる気がする。
吸い物椀のイメージとか、料理が聴覚を喚起するだなんて、あまりにも幻惑的だ。

闇にまたたく蝋燭の灯と漆の器とが合奏する無言の音楽の作用、
という表現も凄い。
光と音とが闇の中で渾然一体となっている。 

うならされる。

この谷崎の文章の前には、森茉莉もかたなしか。


とはいえ、こういった食生活が許されるのは、一部の富裕層や上流階級のみであって、
庶民とは無縁のもの。
これをもって日本の食文化だ、といわれても、自分とは関係ない世界の話じゃん、
という人も多いだろうし、もちろん私だって、その一人だし。
上の谷崎みたいなことを考えながらとか、
食事をひきたてるような闇の中で食事をしたことなんて、ないし。

ただ、庶民的であろうが、庶民の生活とかけ離れていようが、
日本にはこういった、世界でもまれに見る、洗練の極みともいえる食文化がある、
ということは、高校くらいで教えてもいいんじゃないかなー、とは思う。
いや是非そうするべきでしょ。

そして、優秀な料理人とか、いい和食屋がもっとたくさんできればいいなぁ、と思う。

私が『陰翳礼讃』を読んだのは、いつだったか覚えてないくらい昔だけれど
日本文化の深み・凄みというものに気づかされ、衝撃に近いものを感じたことは記憶している。
是非、学校教育の現場において、テキストとして採用してもらえればと思うな。


また読み返してみたい。






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冒頭の画像 : 最近すっかりはまってる、Biff Bang Pow。

Biff Bang Pow! / L'Amour, Demure, Stenhousemuir
(1991 Creation, 18-track, featuring a compilation of tracks from 1984 to 1991)


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