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キャリー (1976) [映画・芸能]

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1976年のブライアン・デ・パルマ監督作品、「キャリー」を見た。

衝撃的だった。
久々に、アメリカ映画ですごい作品を見た、という感じ。

話の内容としては、要するに、いじめられっ子の高校生が、超能力を発揮して、
いじめっ子たちに復讐する、というだけの話で、
まあ、超能力モノ恐怖映画の走りみたいなもんでしょ、くらいで
完全にナメてたので、心の準備ができていなかったぶん、衝撃も大きかった。

まず役者の演技が素晴らしく、よくこれだけ集められたね、というくらい、
いい役者がそろってる。

キャリー役の、シシィ・スペイセクの演技力は別格。
ひたすら地味だし、常にオドオドしているし、なんだかちょっと気持ち悪いし、
こういっては申し訳ないけれど、確かにいじめられそうだなこれは、というキャラで、
なのになんだか、女の子らしくしているとちょっとかわいかったりして、
そのキャラはあまりにも絶妙。

あと際立っているのは、いじめっ子役のナンシー・アレンや、無名時代のジョン・トラボルタ。
この人は、アホでチャラい・でもなんか憎めない若造やらせたら世界一だな、と改めて思った。
演技しててこれなのか、それとも素なのか。。

しかしその存在感で他を圧倒しているのは、キャリーの母親役、パイパー・ローリー。
この人の狂信者そのものといった独特の演技、決して紋切り型にならない、
この人にしか出せない凄み、
まさにあっちの世界に行ってしまった人の怖さ。。。

演技というか、本当にこの人はこういう人なのでは?と思ってしまうくらいのリアリティ。
この人がいるかいないかで、この映画の完成度は大きく違ったと思う。
素晴らしい。


で、冒頭のシャワーシーンから驚かされる。
女子高校生の体育の授業後のシャワールームという、きわめて健康的なエロス漂うはずの空間が、
なにやら怪しい宗教かなにかの儀式が行われている空間にしか見えない。
キャリーの自宅の独特な怪しさに満ちた空気感も素晴らしい。

あとはたぶん
頻繁にイエス像が出てきたり、聖書の言葉を引用したりしているので、
なにかキリスト教に関して、監督が表現したいことがあるんだろうけど、
私はキリスト教にはあまり詳しくないので、よくわからない。


しかし、ただの恐怖映画ではなく、むしろ、高校生の青春というか、
この時期特有のキラキラ感みたいなものをきっちりと描いている。

キャリーが、プロムに誘われ、迷った挙句に一緒に行くことを決め、
鏡を見ながら口紅を引くシーンの、その乙女心。
プロムに参加しているうちに、じわじわと高揚していく、キャリーの幸福感。
そのあまりにも至福感にあふれた演技と演出。

ああ、人生ってなんて素晴らしいんだろう、というキャリーの声が聞こえてきそうだ。

トミーはキャリーを騙してプロムに誘ったことになっているが、この時点で、
彼はキャリーのことが好きになってしまったのでは?

しかし、その直後、事態は急転直下。
怒りと哀しみに打ちひしがれたキャリーの理性が崩壊、
映画史に残る大惨事に。

しかも、これで終わることなく、家に帰れば今度は母親と対決、
ラストには、13日の金曜日的な、恐怖映画の鉄板ともいえるびっくりシーンもあったりして、
そういった効果的な演出までちゃんと盛り込んでいて、
恐怖映画・娯楽映画としてよく出来ているのだけれど、そんなことよりもむしろ
とにかく、私はキャリーの抱えている辛さ、悲しさのほうに、感情移入しまくりだった。

つまり、この作品は「異端者の哀しみ」を描いた、青春残酷物語なのである。
それは、超能力とか恐怖映画という側面を除いてこの作品を振り返ってみるとよくわかる。

学校になじめず、クラスメートともうまくいかない。
普通の高校生生活を送りたいだけなのに、どうしてうまくいかないのか、、
という絶望的な状態の中、せめて家に帰ったら落ち着きたいと思うのに、
家は家で、母親との確執が待っている。

世間では差別され、白い目で見られ、いじめられ、疎外され、
家でも心休まることなく、この世界のどこにも自分の居場所がない。。 

地獄である。

ほんの一瞬、天国のような夢見心地を味わい、ひょっとしたら、いけるかも、
これで私の人生、変わるかも、て思ったら、
次の瞬間にはさらなる地獄に叩き落され、
その地獄の中で、地獄のような人生を終える。

何の救いも無い。

ただただ悲しく、辛い映画なのだけれど
娯楽的な要素や芸術的な要素もふんだんに盛り込んでいながら、
美と、恐怖と、生きる喜びと、なにより人間が描かれている。

美しい青春映画だと、私は思う。

そしてこのような映画こそ、名作だと思う。


ただ、この映画が好きか、と言われれば、あまり好きにはなれないかな。。
なんともいえない、生理的な不快感みたいなものがあるので。

要するに、ここで描かれている血が、リアルすぎなのだと思う。
私は血が苦手なので。

とはいえブライアン・デ・パルマという人は凄い監督だなー、と。
他の作品も見てみたい。

まずは「殺しのドレス」、続いて「スカーフェイス」、「ファントム・オブ・パラダイス」も近いうちに。





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